2010/04/20

5/12勉強会で報告します

今度、下記勉強会で報告をします。
名古屋近辺にいらっしゃる方、ぜひお越しあれ~(ひやかしはご免!笑)

・・・ FAFID 第 15回勉強会 ご案内 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日時:2010年 5月12日(水) 午後6時45分~午後9時00分
場所:日本福祉大学名古屋キャンパス 北館6階 6A教室
http://www.n-fukushi.ac.jp/top_menu/access.htm

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主題
「外部主導で形成された住民組織の可能性
~マラウィとブルキナファソにおける協力隊員の具体的な組織支援活動の事例から~」

 近年、社会開発や参加型開発のアプローチにおいて、住民の組織化を促す事例が少なくない。ある意味「定番」になっているともいえるが、効果については毀誉褒貶がある。とりわけ、住民組織の多くが、住民の内発的欲求ではなく、ドナーや当該国政府など「外部からの働きかけ」に基づいて形成されていることは、「住民の主体性を欠いた」開発に結びつくという批判もある。実際、外部主導でつくられた住民組織は、ドナー撤退後にあっさり衰退することも珍しくない。「よそ者」の意図に沿って形成された住民組織に可能性はないのか?
 今回の発表では、2009年まで青年海外協力隊の隊員としてアフリカ2国(ブルキナファソ、マラウイ)の村落部に派遣されていた2人の具体的な報告をもとに、議論を深めたい。

【報告者1】
渡利智子 
「ブルキナファソ村落部における女性グループの生活向上活動支援事例」

【概要】
 国際機関や各国政府による援助が集中するブルキナファソ北東部において、青年海外協力隊員として関わった一つの女性グループを取り上げる。このグループは、援助機関から資金援助を受けるために2007年8月に結成され、潤沢な資金をもとに、野菜栽培や接ぎ木苗の生産、技術やグループ運営に関する講習会などを行った。メンバーがこれらの活動に真摯に取り組んだ結果、将来的にも自律的・持続的に活動を発展させていける「芽」は出てきた。一方で、心理面での援助依存が強まるなどの、自律的発展の阻害因子も見られる。
 このような阻害因子を克服し、この「芽」を育てていくためには、外部者は今後どのようなアプローチをとることが効果的なのか?また、これまでどのようなアプローチをとることが可能だったのか?グループとの2年間の関わりを振り返る中で考えてみたい。

【プロフィール】
1980年岐阜県岐阜市生まれ。大学2年次の東南アジア旅行をきっかけに「途上国」に興味を持ち、大学では国際開発を専攻。2003年神戸大学発達科学部人間環境科学科社会環境論コース卒業。卒業直前に滞在したフィリピンでの出会いから、同年10月より(財)オイスカ組織広報部にて勤務。広報担当として国内外の「現場」を取材する中で、いつしか「現場」への想いが募り、2007年4月より青年海外協力隊に参加(職種:村落開発普及員)。ブルキナファソ環境・生活環境省サヘル州局において、女性グループの収入向上活動支援、小学校・高校での環境教育等に従事し、2009年6月帰国。2010年秋より英イーストアングリア大学院開発学部修士課程(Environment and International Development)にて、森林分野における住民参加型政策の理想と現実とのギャップを克服するための方策を研究予定。


【報告者2】
中村雄弥  
「マラウイ村落部のエイズ対策におけるCBOのネットワーキング事例   
   ~所与の枠組みの中に「内発性」を導くための試行錯誤~」

【概要】
 マラウイとザンビアの国境に接する僻地の農村で、村の住民によるボランティア組織であるCBO(Community Based Organization)を統括するムジンバ県エイズ委員会の一員として仕事をしていた。
現地の村に住み込み、村を巡りながら、住民にCBOの意義を説き、組織化を促すのが主な業務。コミュニティーにおけるCBO設立は、国家エイズ委員会主導で全国展開されたが、村落部にはCBOを形成する意味を理解できない住民も多く、組織化は順調にはいかなかった。そこで、CBOの枠組みを普及・拡大するため、近隣のCBOをネットワーキングする試みを始めた。狙いは、これまで個別単独に活動していたCBOをグループ化することで、情報共有を促し、相互刺激によってそれぞれのCBOが自発的に活性化するよう「仕向ける」ことだった。ネットワーク化によって、CBOの地域における存在感が増し、それに刺激され、組織の無かった地域でも、自発的にCBOが設立される動きが出てきた(現在も同プロジェクトは進行中)。
 CBOが上から押し付けられた枠組みである以上、住民の内発的主体性がもともとそこに無かったのは確かである。しかし、時に所与の枠組み内で「比較的好ましい」選択肢を選び取っていくことも、途上国で住民が生き残る上で必要な戦略の一つであると考えられる。その際に、「こうしたい」という住民の意識が自発的に涵養されるのであれば、それもある種の主体性とはいえないか。私の事例では、そういった「主体性」が生まれるCBOもあれば、生まれないCBOもあった。その意味では成功事例とは言えないが、与えられた枠組みの中で新たな「主体性」が生み出される可能性は感じた。とはいえ、自分の場合は、いかなる要素に配慮すればその変換をうまく導けるか、明確な答えを見出していない。発表では、取り組んだ試行錯誤をてきるだけ提示し、議論の材料としたい。

【プロフィール】
1977年、愛知県名古屋市生まれ。2001年、北海道大学文学部文化人類学専攻修了。卒論は「創られた最後の清流、四万十川の意味するもの」。同年中日新聞社入社。記者として松本支局、中部空港支局、本社運動部などで6年間勤務。2007年6月より、会社を休職して青年海外協力隊・エイズ対策隊員としてマラウイ国に赴任。帰国後、会社を退職。「開発における主体性とは何か?」「援助の是非」などといった問題について、理論的に学び、思考を深めるため、2010年秋より英イーストアングリア大学院開発学部修士課程(rural development)へ進学予定。趣味は、冬山登山と新聞作り。32歳、独身。

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※ ご参加頂ける方は5月5日(水)までにFAFID事務局( fafidhq@gmail.com )までご連絡頂けますよう、よろしくお願いいたします。ご連絡頂く際は
1.お名前
2.ご所属
3.今回の発表に対して関心のあること、または発表者に質問してみたいこと
4.懇親会への参加(出席・欠席)
5.(初めての参加の方は)何を通じて本勉強会の情報を得たか(誰から、どこから)
をお知らせください。

※ 懇親会を鶴舞駅周辺で午後9時30分頃から予定しております。
  会場詳細について情報が必要な方は別途上記事務局アドレスまで
  メールにてお問い合わせください。
   (会費3500円程度)
 →勉強会出席と合わせて事務局までご連絡下さい。

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「開発ファシリテーション&フィールドワーク」勉強会
(Facilitation and Fieldwork in Development)の主旨とアプローチについて(2009.09.09改訂版)

 本勉強会では、開発援助の現場で重要性が指摘されるファシリテーションと、人類学的な調査研究の方法であるフィールドワークを議論の手がかりとして、人類学と開発援助実践の交叉のありようを読み解き、現場目線からよりよい実践に向けた課題を検討することを目的としている。ファシリテーションもフィールドワークも、それがなされる文脈から切り離され、一般化されて議論されることで、「べき論」やそもそも論に陥りがちである。本勉強会では毎回、ファシリテーションやフィールドワークの具体的なある場面を事例として取り上げ、その場を織りなすアクター間の相互作用を参加者とともに考察することで、実践的な学びの蓄積を目指したい。
 以上の主旨とアプローチにもとづき、本勉強会ではフィールドワークや国際協力経験の有無にかかわらず、広く関心のある方のご参加を歓迎しております。これから開発現場でフィールドワークを行う大学院生や国際協力にはじめて参加しようという若手が臆することなく問いを発することが出来、また参加者各人が自らの経験を相対化する機会となれば幸いです。興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

日本福祉大学国際福祉開発学部 小國和子(e-mail:oguni@n-fukushi.ac.jp)

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